河野裕子

 昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で創元推理文庫柳広司を二冊。『はじまりの島』2006年初版、『百万のマルコ』 2007年初版、計210円。

 昨夜11時少し前にテレビ東京をつけたら、なんとまだ野球中継延長戦最後の裏2OUT。いい場面を見た。中日ファンの感想。

≪あたしが牛なら、4つの胃ぜんぶに穴があいてる。 ≫

 昨日の毎日新聞に八月に64歳で亡くなった歌人河野裕子(かわの・ゆうこ)の記事(東京学芸部 大井浩一)。

≪だが、現実に起きた追悼の波は、予想をはるかに超える大きさだった。≫

 触発されて本棚から 河野裕子歌集『ひるがほ』短歌新聞社1976年刊を取り出す。

≪ わが裡の何を欲りせる抱擁の泳ぐやうなる腕の形よ ≫

≪ 夜と昼の生理ことなる樹の下に肺持つわれの胸息づけり ≫

≪ 唇を持たざるものの鋭さに地をかつかつとうがちゐる鳥 ≫

≪ 石さへも華やぐ短かき刻(とき)にして夕茜低く枯野を覆ふ ≫

≪ みづうみのみづが湛ふる闇の量(かさ)硝子戸のむかうの夜より深し ≫

≪ 死者といふしづかな明るさ 家族ひとり欠けたる朝の食卓につく ≫

≪ 君と子らを得たる腕(かひな)よさはさはと朝の夏草かき抱きて刈る ≫

 明日へ続く(つもり)。