三つの日本文学全集

 『文学全集を立ちあげる』「日本文学全集篇」は明治以降だけで九十巻を超える。1990年代に出た文庫判型の『ちくま日本文学全集』は物故者だけの全集で、一人一巻立て全六十巻六十人。よって、前者の企画で一巻をなしている大江健三郎は、『ちくま』では入っていない。後者の『ちくま』にあって前者に名前のない作家もある。寺田寅彦白井喬二尾崎翠稲垣足穂渡辺一夫海音寺潮五郎中野好夫木山捷平幸田文宮本常一長谷川四郎富士正晴深沢七郎澁澤龍彦色川武大開高健寺山修司ら。彼らの何人かは、「近代短篇集」などに収録されるだろうが。

 加えて『ちくま』にならって≪岡崎武志さん山本善行さんが、架空の日本文学全集企画を立ち上げる。全60巻、文庫サイズ ≫の架空の『気まぐれ日本文學全集』と較べると、さらに興味深い。上記二全集の視野の外にいる小津安二郎鴨居羊子杉浦日向子殿山泰司花森安治堀内誠一山名文夫安井かずみ淀川長治らが一巻をなしているのだから。小津安二郎山名文夫、文章を目にしたこともない。手遊(すさ)びでないことは確かだろう。

 昨夜の野球、日付が替わる寸前まで延長結局引き分け。はあ〜。

 昨夜のNHK「トップランナー」、松尾たいこのイラストを見て、花森安治和田誠松尾たいこの流れを考える。

 昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。今野寿美『歌のドルフィン』ながらみ書房2009年初版帯付、木村聡『赤線跡を歩く』ちくま文庫2006年3刷、計210円。