野火/赤い密室

 大岡昇平「野火」を読んだ。フィリピンのルソン島での日本軍敗走兵たちの、悲惨残虐な有様を冷徹に描いたもの。死体死体死体の連続。これが戦争、戦場だ。十代の頃、大岡昇平から父宛に問い合わせの手紙が来た。父はルソン島へ行く前に戦傷者となり、ルソン島へは行かなかった旨の返事を母が認めた。

 昨日の解剖室の流れで鮎川哲也「赤い密室」を出版芸術社版『赤い密室』1996年初版で再読。冒頭。

≪解剖室のなかでは、ようやく仕事がおわったところであった。≫

 何度か読んでいる推理小説だけれど、いつもトリックを忘れてしまう。なぜ、推理小説のトリックは忘れてしまうのだろう。面白かった、という記憶しか残らない。面白かったジョークを、その内容は忘れて面白かった記憶しか残らないのと同じ事情なのだろう。

≪「昨日大阪から帰ってきた」

 「事件の捜査ですか」

 「ああ、むかで横丁の首なし事件さ。すごく頭のいい犯人でね」≫

 では、その「むかで横丁」を次に読むとするか。

 紀田順一郎のブログに苦笑し考えさせられた。本好きの悩みは尽きない。

≪スチール製の移動式書架に、やっと整列した本を見て、幸せを感じたのも束の間、次の災難が襲ってきた。書架の自重を計算に入れていなかったため、床が沈没してしまったのである。以前から感じていたことだが、住宅業者には大手でも書庫設計の基礎データを持っていないところが多い。≫

 平野雅彦氏のブログにペコちゃん人形が掲載されていた。

 ネットの拾いもの。

≪ 菅職ならぬ閑職 ≫