「静けさ」に守られ遺体回収

 昨日の続き。6回「90年 レバノン内戦」から。レバノン南部サイダの山岳地帯。

≪丘を登るにつれ、ポツリポツリと死体が現れる。(引用者:略)敵軍が集めて倉庫に詰め込んだ死体の束があった。夏の暑さで紫色に膨れ、正視できない状態だ。死体の腐臭は一度かぐと決して忘れないと言われる。異臭に耐えながら、時に手足や頭のもげた死体を袋に入れて進む。/その間、丘は物音ひとつしない。もちろん死体回収の一時休戦にすぎず、双方の戦闘部隊がミニグ氏たちの行動を監視している。(引用者:略)回収が終わると、休戦が解かれ、再び戦闘が始まる。≫

 昨日掲載の8回「91年 スーダン内戦」から。

≪「戦争外科とは恐るべき特殊医療だ。医者たちはのべつ幕なしに人体を切りまくる。においもすごい。でも、手足のない人、体に穴のあいた人が、人工器官や器具を取り付けられて、数カ月後には立ち上がるようになるんだ。負傷者が歩き出す光景を見た時は、息をのむくらい感動する。人の姿は何て美しいんだろう、と。」≫