ニ日

 元日のブックオフ長泉店は空振りだったけど、きょうの三島徳倉店はとりあえず買える本があった。川上未映子『乳と卵(ちちとらん)』文藝春秋2008年初版帯付、夏石番矢『地球巡礼』立風書房1998年初版帯付、西岡文彦モナ・リザの罠』講談社現代新書2006年初版、笠井潔『天啓の宴』双葉文庫2001年初版、計420円。

 本格ミステリ作家クラブ・編『透明な貴婦人の謎』講談社文庫2005年初版を読んだ。小説よりも円堂都司昭の評論「POSシステム上に出現した『J』」が新鮮で興味深かった。美術に引き寄せて読んだ。

《つまり、邦楽内部の運動として「J」なる自意識が発生したのではなく、英米ポップとの対比から「Jポップ」が逆算されたのだ。》

 明治の「日本画」の発生と同じだ。

《当たり前の話だが、作品個々の特性が全て時代に帰するわけではない。だが、作品が同時代読者に受容される要因として、現在性は必要条件である。》

《古典的芸術観で捉えれば、作家は人間を描くために内面を作品に投影しようと推敲を重ねる。ゆえに、内面を宿し、固有の文脈を有する作品からサンプリング/カットアップすることがインパクトをもたらす。》

 現代アートのいくつかが即浮かぶ。現代美術評論家椹木野衣の『シミュレーショニズム』の一文が引用されている。