380,00、奇想ミステリ

 山田風太郎『奇想ミステリ集』講談社大衆文学館1997年初版を読んだ。《現在インプリントで読むことのできない十三篇をまとめた作品集。》どれも一曲ある曲者揃いだけれど、最初と最後の短編、風太郎ならではの超絶技巧が冴えわたる「新かぐや姫」と「司祭館の殺人」が私のツボにはまった。この前に読んだ『奇想小説集』収録の「黄色い下宿人」がシャーロック・ホームズ夏目漱石の推理較べであったのに対し、「司祭館の殺人」にはアルセーヌ・ルパンが出現。こういうパスティーシュ pastiche は私好み。

 神田神保町の版画商六店舗が共同で出した『新春版画図録』が届く。浮世絵から新版画創作版画まで、図版が一頁に二十枚ぎっちりと並ぶ頁は壮観。全てに値段がついている。これだけの量になると、間違いが起きる。今回は川瀬巴水木版画「旅みやげ第三集 出雲おぼろ月」大正13年(1924)の値段。《380,00》円。コンマ下に0を一つ付け忘れている。380,000円(38万円)が正しいはず。小原古邨の木版画も各店舗から計三十点あまり出品されている。秀作が多い。大判で十万円は、お手頃価格だろう。でも、入手したいものはなし。

 ネットの拾いもの。

《贈与するのが伊達直人  増税するのが菅直人

《丸文字の伊達直人さん……》