夏石番矢『地球巡礼』立風書房1998年初版を読んだ。帯には《史上初の地球的規模の現代句集!》とある。「あとがき」には《過去五年間に書き続けてきた、いわゆる「海外詠」だけを集めた。》とある。
《 我今見聞印度洋上王冠落日
アラベスク純白の無を呼んでいる
人相凶悪の超善良の絨毯商人
イタリアの大麦秋を蛇行せり 》
といった句が四六七句。漢字だけの句は「がこんけんもんいんどようじょうおうかんらくじつ」とルビ。
《私は、これらの俳句を従来の「海外詠」ではなく、「地球詠」と呼んでみたい。》
《日本国内だけにしか通用しない「有季定型」は、俳句とHAIKUの世界規準にはなりえないという確信もさらに強まった。》
柔道の現状みたいなことを言うなあ。「有季定型」に拘ることはないと私も思うけど、この本の俳句が優れている、とは思えない。地球詠というより地表詠ともでいうべきか。生硬の感じがしてならない。本棚から句集『メトロポリティック』牧羊社1985年、評論集『天才のポエジー』邑書林1993年を取り出してさらさらと読んでみた。生真面目な人だと思う。直球ばかりで芸に乏しい。
フリーペーパー「南大分マイタウン」をニ十年以上出している御沓幸正から第298号を恵まれる。短歌欄に氏の短歌一首。る。
《 燻る火の煙避くれば避くる方へまといつき来て煙にむせぶ 》
いろいろな読み方ができるなあ。ネットの拾いもの。