企画展最終日

 体調はほぼ回復したようだけど、この寒さ、バランスを崩しそうで落ちつかない。若いときは勢いで突っ走ったけど、そんな無鉄砲向こう見ずはどこへやら。体が動かん。天を仰げば抜けるような青。

《 手のとどくかぎりの言葉散らす日の北の雪空澄む方もなし 》宮田千恵

《 水桶に朝の氷面を打ち砕きそれより今日の寒さをまとふ 》

《 針噴くはふかき奥処かしゆうしゆうと哭きて無限の洞わたる風 》

《 砂の道歩みてながし掌の窪にしびるるまでの冬海を盛り 》

 以上宮田千恵歌集『北の鎖骨』雁書館1981年より。著者は稚内の人。題名の由来。

《十一月から雪を見、五月の半ばまで木の芽も萌えぬ北限に、湾を抱いてノシャップ岬と宗谷岬が二つの鎖骨のようにくろぐろとのびている。》

 雁書館は2008年夏に廃業。時代の無常を感じる。ブックオフ長泉店には最近の歌集句集が数十冊、105円で並んでいる。献呈された方が時折処分されていようだ。ここで話題にした某歌人の本はいくばくもせずに売れていた。105円なら買う人がいるんだ、私以外に。