雨粒

 朝、一塊の雲から小雨。道に点々。K美術館は一点の雨粒になれるか。絵を撤収。白い壁。

 堀井美鶴歌集『五稜星水』雁書館1986年を読んだ。札幌在住の人。

《 ささくれて北にひろがる鰯雲石の思想をいかに砕かむ 》

《 落葉期すみやかに昏れ人と否おのれと別れ聴く木枯や 》

《 雨の日の桜ことさら透きとほり十年のちのわれを見てをり 》

《 うねりつつやがて真白き波の華わが残り世も生きがたくあり 》

《 月光も遂に到らぬ腹腔へ酒にまぶして黒腑(くろふ)をおとす 》