雨が降った

 昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で村上龍『半島を出よ(上・下)』幻冬舎2005年初版帯付、210円。贈呈用。

 深夜から朝にかけて少し雨。止んだので自転車で来る。荷台にはA3判の『清原啓子作品集』美術出版社1988年を括りつけて。昨日、出品画家との話の流れで目黒区美術館の作った清原啓子の銅版画の絵葉書を見せたところ、えらく興味を持たれたので、画集を持ってくることを約束。

 築地正子(ついじ・まさこ)歌集『菜切川』雁書館1985年を読んだ。《〈菜切川〉は、私の今住んでいる村を流れて、有明海に入る細い川である。》

 歌集の帯には歌人塚本邦雄の推薦文《見事な達成を示す第二歌集『菜切川』》。九首選出されているが、私の選出と違う。彼が選び私は選ばなかったが、北一明氏の焼きもの連想させて面白いと思った作品。

《 わななきて火の悦びをわかち合ふ黒釉天目 星降りやまず 》

 もう一首、塚本邦雄は選び、私は結局外した歌。

《 コルチカム花となる日のうすあかり羽ももたぬに翔びたがる女よ 》

 以下は塚本邦雄が選ばなかった私の選出歌。

《 死の中の生をまさぐる想ひして檸檬をひとつ掌の中に置く 》

《 水底に月の無念を沈めつつ澄みゆくらしも素甕の水も 》

《 死より死へ歩みつづくる足なれば多恨の旅のをはりを知らず 》

《 身に襤褸心も襤褸 黒風白雨 コスモス襤褸 鶏頭襤褸 》

《 黄昏は雲より水へ溶けゆきてそのままうたふ川となりたり 》

《 白鷺の行きて還らぬ空昏れて忘却といふ風吹き来ぬか 》