ニ日間床を掃除していなかったので、せっせと床磨き。きょうはお掃除日だ。味戸ケイコさんの絵を観に初めて来られる女性。常設展示だけではちょっと物足りないので、倉庫から十点ほどを取り出す。喜ばれる。
《 傘なくばレインコートの襟立ててさよならだけの人生を行く 》
《 こうこうと風は吹くかな乞う乞うとわれは見上げる物凄き青 》
《 酔えば眠るよりほかなし東京の無頼の朋よ美貌の女(ひと)よ 》
《 その女(ひと)は夕べの鐘のやるせない哀傷 風に吹かれる牡丹 》
《 霧ケ峰すぎていずこにゆかなむか山梨墓無しわれは甲斐なし 》
《 酒のんでどうする咲く花の瓶に差したるこころざしとよ 》
《 しなやかな華奢なあなたのくちびるもゆびにもふれぬ桜降りけり 》
《 東京をさ迷い歩くさようなら銅貨御免と釣銭ばかり 》
この歌集を出版したときは、彼は住み慣れた東京を離れ、沼津市の愛鷹(あしたか)山麓のお寺の住職をしていた。沼津市での短歌絶叫コンサートを観に行った。あれから三十余年、福島泰樹は今も変わらず絶叫している。