お昼までグラウンドワーク三島の研修生二十名ほどを、源兵衛川などへ案内。遠方から来た人は、純白の富士山に見とれている。たしかに今日の富士山は美しい。午後一時過ぎ開館。
V・S・ラマチャンドラン『脳のなかの幽霊、ふたたび』角川書店2005年を読んだ。面白かった。養老孟司の解説から。
《神経科学による脳の理解は、どのように人の心を理解させてくれるか。この問題について、この本は、いまのところいちばんよく書かれた本ではないかと思う。》
以下、興味を引かれた箇所。12世紀チョーラ朝のシヴァ神の神妃パールヴァティ像について。
《ヴィクトリア朝時代のイギリス人はぎょっとしました。(引用者:略)彼らは胸が大きすぎる、腰の幅が広すぎる、ウエストが細すぎると文句をつけました。ちっとも本物の女性に見えない、写実的ではない、原始的な美術だ。(引用者:略)ヴィクトリア朝時代人は、無意識のうちにインド美術を西洋美術の基準で──とりわけ、写実的であることがきわめて重視される古代ギリシア美術や、ルネサンス美術の基準で判断していたのです。》66-68頁
《しかしこれはあきらかな誤りです。今日ならだれでも、美術と写実主義は関係がないと言うでしょう。美術は、世界に実在するものの複製をつくっているわけではありません。(引用者:略)実際、芸術作品は写実などではありません。まったく反対です。脳を喜ばせるような効果を生みだすために、意図的に誇張したり、ゆがませたりしているのです。》68頁
《見る人は、「だれもこんなふうには立てないから、この姿勢は解剖学的に不適切だ」という反応はしません。見る人はそこに、華やかで神々しい、女神を見るのです。》72頁
《言いかえれば芸術家は、試行錯誤や直観や才能を通して、私たちの知覚文法の形状的な原型を発見してきたのだ。》75頁