66年

 きょうは東京大空襲の日。あれから66年。跡形も無いほどに変貌したけど、経験した人は忘れられない。前を向いて生きろ、と言われるけど、つい振り向く。振り向いて、見つめる。何を? 何ゆえに? 何のために? 西勝洋一歌集『コクトーの声』反措定出版局1977年を読んだ。

《 君に邂いしことも不覚のひとつにて夏にかさなる紺青の海 》

《 嬉々として海にありたり忽然と君が地上を去りし真昼を 》

《 流れきてながれ去るもの音あらず雪降る街のあおきたそがれ 》

《 潮騒の高鳴る日々をさかのぼる戦後の果ての 靖国の父 》

《 死者の八月生者の九月いきいきとテニス・コートに踊る少女ら 》