白砂勝敏展初日

 準備中もいろいろな方が来館してに賑やかだったけど、初日は当然それ以上に賑やか。地元テレビ局二局が取材。銅版画家の林由紀子さんが来館。イタリアに続きポーランドの蔵書票コンクールでもナントカ賞を受賞した、と。ポーランド語、読めない、と。たしかに。去年ポルトガルで出た蔵書票の年鑑に林さんが紹介されたので、ヨーロッパ、オーストラリアから注文が来た、と。おお、西洋世界へ食い込んだ。

 わ、地震〜〜!みんなで外へ出る。駐車中の車がグラグラ揺れている。こんなに長い揺れは初めて。

 昨日の毎日新聞夕刊、三田晴夫「アートの風」は、「田窪恭治展 風景芸術」東京都現代美術館について。《風景への欲望を駆り立てた梱包芸術家、クリスト》をまず話題に。

《クリストにとっての制作は、梱包すべき対象物の選定や、許可の取得交渉、資金の調達といった準備段階から、梱包の実作業、完成と一定期間の展示、そして、終了後の撤去に至るまでの総体を意味した。》

《「鑑賞されること」を第一義とした従来の美術と違い、社会の中で「使われること」も美術の目的にしたい。かつてそう言明した田窪にしてみれば、歴史遺産の芸術的な再生事業こそ、最もふさわしい目的だったに相違ない。法人や個人によるメセナ型の支援体制も、資金調達のみならず、プロジェクトの公共事業性を保証する必須の方法だったろう。》

 こういう文章を読むと、二十年余にわたって今も続いている三島の源兵衛川再生事業を思う。これぞ風景・環境芸術の二十一世紀型を体現していると、私は考えている。一人の芸術家を冠するのではなく、多くの市民が生態系を念頭にそれぞれの仕方で柔軟に関わっている。