休館にしてグラウンドワーク三島の「心を元気にするショートツアー」 二日目に参加。石巻市の避難所で応募された五十余名の親子を無料で伊豆までバスで送り迎えするプロジェクト第一回は、まずは成功したと思う。子どもたち、親御さんたちの弾ける笑顔と歓声にこちらが感動。昼過ぎまで雲に隠れていた富士山が全貌を見せ、全員が富士山を仰いでいたのが印象的。
大田忠司『レンテンローズ』富士見ミステリー文庫2002年初版を読んだ。表題作と「裁く十字架」を収録。どちらも幻想譚でありながら本格ミステリの体をなしている。後者は密室殺人。「ヤングミステリー」なのに本格。嬉しいねえ。
《 要するに、ミステリ馬鹿です。》「あとがき」
表題作の冒頭。
《 赤錆色に濁った夕陽が、高層マンションの背後に沈みかけていた。滅紫の雲が引き千切られた軍旗のように空に漂い、一日の幕を下ろそうとしている。
ジュブナイル juvenile なので、漢字にはルビが振ってある。滅紫には「けしむらさき」と。え、「めっし」じゃないの? 焦った。読み方はどちらもあった……。
《 下駄箱の上の聚楽壁(じゅらくかべ)に 》
じゅらくかべ……。辞書を引く。
《 澄んだ音がした。何の音か、すぐにわかった。御鈴だ。》
ルビが振ってない。「ごりん」と読めるだろうか。私は読めるが。
《 ノブさんが窘(たしな)める。》
《 この女は男の心を誑(たぶら)かす魔女なのだ。》
《 神父が誰何(すいか)した。》
若い人は漢字を覚えるだろうなあ。Suica だけじゃないものなあ。因みにレンテン・ローズとはクリスマス・ローズの別名。