女性画家展初日

 午後、静岡新聞と三島テレビ放送の取材。

 山口昌男『知の遠近法」岩波現代文庫には付箋が30以上立っている。貼付の箇所を読むとその前後の文章も読んでしまい、再読しているようなものだ。それほどに知の沃野が拡がっている。女性画家関連で「第9章 周縁性の歴史学に向かって」より。

《 そこでジンメルのいう「男性的客観」の特徴を要約的に挙げるならば、それは、あらゆる次元における絶えざる分化という方向性を前提としている、ということになる。分化するためには相違性を強調しなくてはならない。相違と分化が男性の活動の前提であり、文化を構成する主要な概念がそうした活動の所産である。とするならば、分化と反対の極にある女性的な特質は、男性中心の客観的文化の中では不利な立場におかれることになる。》

《 その全体性・多義性のゆえに、女性は、同時代の男性中心の客観文化からの「はみ出し」の部分を孕む。この「はみ出し」の部分の豊饒性が文化のうちの深い隠れた部分にほかならぬことを知り、この部分に対する無力感を自覚する男性文化は、この部分を排除するか抑圧するかによって自らの不完全なアイデンティティを確率しようとする。ここから明らかになるのは、歴史とは、あるいは歴史的時間というのは、何ものかを「過去」の名において排除することによって成り立つものである、ということだ。》

《 今日の歴史学が与えられている難しい課題は、いかにしてスマートに、ダイナミックに、歴史的思考という知の形態に引導を渡すか、という点にかかわっていると思わざるを得ない。》

 この視点から二十年後に『「敗者」の精神史』『「挫折」の昭和史』が生まれたのか。

 ネットの拾いもの。

《 原子力は古い。これからは女子力の時代だな。》

《 信じる者は足を掬われる。》