「モナ・リザ」

 西岡文彦モナ・リザの罠』講談社現代新書2006年初版を読んだ。これは良かった。平易な文章で分かりやすい。あまりに当たり前にある「モナ・リザ」。

《 私たちの不幸は、これほどユニークな絵を見慣れてしまうことで、その独自性がほとんど見えなくなってしまっていることにあります。》179頁

 そのとおりでございました。制作の背景そして「モナ・リザ」の背景画についてもこれほど突っ込んだ分析は、私には初めて。

《 『モナ・リザ』の背景にも、似たような冷え冷えとした知性がただよっています。》133頁

《 繰り返しになりますが、このリアルな背景は、地学模型のように現実の自然界にはほとんど存在していない風景を描いています。》134頁

《 私は、イマジネーションはなにかを生み出すためにだけ使うものではなく、むしろ、すでにあるもの、すでに自分が手にしているものの真の価値を見出すためにこそ、使うべきものだと思います。》「おわりに」

 深く共感。

 都筑響一がきょうのブログで世界を巡ったパクリの連鎖を取り上げている。「 パクリ一発、怪我一生」。

 ネットの拾いもの。

《 女の人の言う「もういいよ!」が、本当にもうよかったケースは、まだ世界で一例も報告されていないという。》