ポルトガルのギター演奏

 帰りがけにブックオフ長泉店で文庫を三冊。松尾由美『オランダ水牛の謎』創元推理文庫2009年初版、道尾秀介『片目の猿』新潮文庫2009年初版、『日本探偵小説全集1 黒岩涙香小酒井不木甲賀三郎創元推理文庫1990年6刷、計315円。

 探偵小説〜推理小説〜ミステリと、時代によって呼称が変わっているけど、探偵小説時代の作品に最も惹かれる。表現の分野では、技法の発見・開拓から開発・発展を経て、熟成・完成そして衰退という過程をとる。私がまず飛びつきたくなるのは、最初の発見・開拓時のもの。熟成した様式美には痺れるような魅力、頽廃美があり、それはそれでいいけれど、右も左もまだ判然としないけれども、なんか面白い、という時期の表現により惹かれる。

 表現する側からの発見・開拓に対して、受け手側にも発見・発掘のワクワクがある。うわ、こんな面白い、わけのわからないものがある! という驚き。ここ掘れ、ワンワン。十九世紀半ばのフランスにおける浮世絵版画との出合いがその嚆矢だ。それと似たものが昨日のミュゼットであり、昨夜久しぶりに聴いたポルトガルのギター演奏だ。CDのタイトルは『 Portuguese String Music 1908-1931 』1989年。明治末から昭和初期にこれほどの技巧をこらした演奏があったとは。時代の制約を超えて琴線に触れる情感豊かな響き。サウダージ〜哀愁というよりは、西脇順三郎ばりに愛愁と呼びたくなる。

 ネットの拾いもの。

《 「ゲイバー・タリー&ジュリー・シュピーグラー『子どもが体験するべき50の危険なこと』オライリー・ジャパン 2011年」。

  ラジオの一番の聞き所だったのは、若い女性のアナウンサーさんがゲイバー・タリー&ジュリー・シュピーグラーという著者名を噛みまくったこと。》