『ピーター・パンの殺人』

 昨日、郵便局でハローキティの80円切手と50円切手それぞれ1シート購入。さっそく使用。ハローキティの切手はなぜかシール。つまりはがして貼る。ミシン目はあるけど、普通の切手のように目に沿って切る必要も舐める必要もない。はがすだけ。どの切手もそうすれば楽ちんだと思うけど、なぜかそうならない。不思議だ。

 きょうも昨日に続いて暑い。節電死しそうなので、一階二階の展示室だけ設定温度28度で冷房をかける。来館者もご納得。打ち水焼け石に水状態。梅雨だろう、雨よ降れ、の気分。お、雲ってきた。

 辻真先『ピーター・パンの殺人』大和書房1986年初版を読んだ。昨日話題の『完全恋愛』と似た構成だ。事件の発端は戦時中にあり、それが現在まで尾を続いている。『ピーター・パンの殺人』では1986年の現在まで、『完全恋愛』では 2007年の現在まで。これはどういうトリック? ワクワクして読んだ。

《 現実の人生ではついに結ばれることのなかった初恋の少女にむかって、あの初老の作家は、いまなお作品と名づけられた花束を、捧げつづけているのか。》191頁

 この場合の作家は画家ではなくミステリ作家だが。ピーター・パンとは。ひとつの意味。

《 やれやれ、東京はピーター・パンで一杯なんだ。大人になりたがらず、いつまでも子供の特権を享受しようとするモラトリアム世代。》214頁

 評価だけれど、重い色調の『完全恋愛』にたいして『ピーター・パンの殺人』には文章にゆとりがある。甲乙つけがたい。つける必要もないが、ネットでは『ピーター・パンの殺人』のほうが高評価。改訂・完全版が創元推理文庫から出る予定。ただ、改訂されたからといって、元版よりいいかは別問題。高村薫のミステリのように、改訂版の評判が悪いこともある。

 それにしても、と思う。『完全恋愛』の書き手牧薩次をはじめ、連作の主人公たちが登場してくるのだから、怪の会・編『エンサイクロペディア アワサカナ 泡坂妻夫事典』のような人物関連事典が欲しいところ。そんな事典を寡聞にして知らない。