7月 3日(日) ナンシー関の眼力

 昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で三冊。ナンシー関ナンシー関のすっとこ人名辞典』飛鳥新社2002年3刷帯付、太田忠司(ただし)『甘栗と金貨とエルム』角川文庫2010年初版、米澤穂信(ほのぶ)『クドリャフカの順番』角川文庫2010 年6刷、計315円。ナンシー関の本を買うのは初めて。帯文から。

《 6月に急逝したナンシー関の遺稿集。(引用者:略)著者自らが厳選しコメントをつけ、色づけしたこれまでになかったナンシー版「紳士録」。》

 収録された180人ほどの版画とコメントに目を通したけれど、膝を叩いて頷いたものは片手ほど。ちょっと肩透かしの印象。それよりも、十年前にコメントされている人の八割以上(多分)が今も現役。浮沈の激しい芸能〜テレビ界にあって、ナンシー関の眼力を感じた。

 ナンシー関と同じ青森県出身の寺山修司の歌集『血と麦』1961年を読む。有名ではない歌に親近感をおぼえた。四首を引く。

  橋桁にぶつかる夜の濁流よわが誕生は誰に待たれし

  悲しみは一つの果実てのひらの上に熟れつつ手渡しもせず

  胸にひらく海の花火を見てかえりひとりの鍵を音立てて挿す

  日傘をさして岬に来たり君と記憶の重ならぬまま