明日からの展覧会の準備。展示品を搬入、飾りつけ。
近藤史恵『サクリファイス』新潮社2007年3刷を読んだ。サクリファイス sacrifice =犠牲的行為。国内ではマイナーな自転車のロードレースが舞台。競輪とはまるで違う競技だ。ロードレースの場面が大部分だけれども、それがじつにスリリング。数年前、レース中に起きたアクシデントを巡る疑惑を軸に事態は進む。故意か事故か。小説はスイスイ読め、かつ読み応えがあった。二転三転し、謎が明かされ、主人公の吐露した心情。
《 「勝利は、ひとりだけのものじゃないんだ」 》
以下、しみじみ感じた言葉。
《 ぼくの目的はただ勝つことではなく、もうひとつ上のステージへあがることだ。》27頁
《 「ぼくはアシストだ。自分の勝利を狙うつもりはないよ」 》62頁
《 人のことばの裏側を読むのは苦手だ。知らないですむなら、知らないままにしておきたい。》115頁
《 確実に存在するヨーロッパとのレベルの差。》175頁