白砂勝敏展四日目

 台風接近で雨。バスで来る。

 昨日の『死写室 Death seat 』は《やや乾いたユーモアがあるのが嬉しい》と記したけれど、やや乾いたユーモアと乾いたユーモアとはかなりの隔絶がある。乾いたユーモアのミステリ作家では都筑道夫が代表的。霞流一都筑道夫、小説の結構は似ているけれども、ユーモアの湿度(乾燥度)が違う。アメリカのミステリのユーモアには乾いたを通り越して乾ききったユーモアがよく見られる。ユーモアとはつまるところ、自分を笑いの対象に入れるところに原点がある。それをどのような心持ちで表現するか。哄笑、微苦笑から皮肉まで、どこに照準を合わせるか。私の好みは霞流一にある。

 褒めるだけでは面白くない。毎日新聞丸谷才一大沢在昌『絆回廊 新宿鮫X』評で苦言を呈しているようになにか書きたくなるなあ。丸谷の言葉。

《 絶讃のあとで抗議を記す。終り近くで晶は、警察官としての職責を全うさせるため彼と別れるという声明を発表した。コナン・ドイルが、シャーロック・ホームズをモリアーティ教授と格闘させ、探偵を滝壺(たきつぼ)で死なせた事件以来の愚挙である。小説家にこんな勝手なことをする権利があってよいものか。新宿鮫と晶の共寝するしあわせな場面を、次の本ではかならず読ませてくれ。》

 『死写室 Death seat 』から。

《 実にハートフルに接してくれる。》49頁

《 重箱の隅をつつく嫌みな批評ばかり、》239頁

《「なるほど、そりゃ結構、的を得ているかも」》243頁

 ハートフル、つつく、得ているの三つは以前にも書いたけど間違い。heartful という英語はない。hearty ならある。心の温かい、優しいといった意味。hurtful となると傷をつける、有害な、という意味。重箱の隅をつつくでなく、ほじくる。的を得るではなく、射る。

 ネットの拾いもの。霞流一の書き込み。。

《 そうか、でっかい東電本社ビルが冷房オンにしている

  ということは、電力不足って嘘なんじゃねえの?》