白砂勝敏展六日目

 台風一過。自転車で来る。

 昨夕来館された知人女性の親戚が、レディー・ガガの専属スタイリストのニコラだと聞いて居合わせた人で盛り上がった。そのニコラが注目、依頼してレディー・ガガの靴をいくつも製作している若い日本人男性が、毎日新聞朝刊「人」欄で紹介されていた。
 知人女性のいる沼津市の牛山精肉店は、アントニオ猪木のお気に入り。先だってはタモリが来店したとか。社長は「うん、タモリだったよ」。

 午後、三島テレビ放送の取材。

 霞流一『ウサギの乱』講談社ノベルス2004年初版を読んだ。面白い。「あとがき」から。

《 これまで、獣道ミステリと称して、タヌキ、キツネ、カニ、馬、タコ、虎、エビ、亀……など様々な動物(生物)を題材にした作品を発表してきました。今回はタイトルに表示した通り、「ウサギ」がテーマです。もちろん、本格ミステリです。》

 本の背には「正統本格推理」の文字。間違いない。章立ては「乱」れ咲き。「1白い粉乱」「2明治変乱」〜「29朝の走乱」「30RUN!RUN!RUN!」。

《 ウサギのように飛び跳ねて激突死した奇談や、ウサギの絵馬が吊るされた密室での殺人、ウサギが棲むと言われている月のUFO基地とメン・イン・ブラックの暗躍、そんなウサギまみれの面妖な物語が展開されます。(引用者:略)事件の舞台は芸能界。》

 これは面白かった東京で起きる四件の見立て殺人。血生臭い殺人の合間にこぼれるお笑い。運転中のやりとり。

《「人聞きの悪い、いつも守っているわい。大阪に出張した時だけだよ。黄色は渡れ、赤はよく見て渡れ」》87頁

《 試写への招待が死者へ通じるとは、運命は皮肉なものである。》110頁

《「そうか。そりゃよかった。きっとお前の顔色の方が悪いくらいかもな」
 「それでは、もっと顔色の悪い人を見に行くとしますか」
 「死体が発見されたそうだな」》191頁

《「資料どころか死霊のえじきが出てきた」》195頁

《「そうして上を向いたまま、口を開けると、実に君は絵になるな」
  マヌケと言われたらしい。》211頁

 うれしいのはこのくだり。

《「新幹線で三島へ向かいました。地方の営業というやつですよ。」》153頁

 きょうのうなづき。

《 安全だって言い続けてきて結果これだったのに

  そいつらのほざく安全を信用する奴って頭がおかしいんじゃないか。

  こういう人間は何度でも詐欺事件の被害者になるタイプだな。》