三段構えの逆転

 広島原爆忌。黙祷。昼前に安藤信哉氏のお孫さんが来館。画集の打ち合わせをする。

 イーデン・フィルポッツ赤毛のレドメイン家』創元推理文庫1997年37版を再読。ずいぶん前に読んで感銘を受けたが、その本がボロボロになったため、買い換えた。内容はすっかり忘れていたけど、再読に十分耐える傑作だ。中島河太郎の解説から。

《 「赤毛のレドメイン家」は一九ニニ年の刊行、著者イーデン・フィルポッツにとっては六十一歳の時の著作であった。》

  表紙の宣伝文から。

《 三段構えの逆転と、息もつかせぬ文章の味は、万華鏡の如く絢爛として緻密であり、サスペンスに富み、重厚無類のこくがある。ミステリ史上に燦然と輝く長編推理小説の傑作。》

 そのとおり。以前読んだ時も、文学的香味あふれる流麗な文章が印象深かった。宇野利泰の翻訳も良いのだろう。

《 おそらく、女なんてものは、夫婦生活について独自の規準をもっておるんだろうよ。それにしても、女の欲望くらい理解しにくいものはありませんな 》357頁

 と、フィルポッツは同世代の男に語らせているけど、うなづく同世代の私。それにしても、今の国会を見ていると、三段構えの逆転なんかがありそうな。でもなあ、国会はミステリじゃないんだから。

 ネットのみつけもの。

《 江戸三百年の間、和歌は惰眠を貪っていただけ。その点、俳句はとんでもない言語空間の探検を繰り返している。なにはともあれ、蕪村をはじめとする現代詩の基盤を生んでいる。》