名短篇、ここにあり

 安藤信哉画集をお贈りした、静岡大学の平野雅彦氏からのメールから。

《 安藤信哉画集、きちんと拝見致しました。

  すばらしい作品の数々ですね。》

《 安藤さんの輪郭を越えた筆、色と色が混じり合う画面。

  ぜひ生で拝見したいと思っています。》

《 いい画集ですね。

  スタッフもご苦労されたとおもいますが、すばらしい仕事のカゲにある

  特有の産みの苦しみですね。》

 わかっていらっしゃる。「展示替え中」だけれど、それにはお構いなく来館者。昨日はお二人が(絵の鑑賞後)安藤信哉画集をじっくりご覧になって、さっと購入された。名画集、ここにあり。

 北村薫宮部みゆき 編『名短篇、ここにあり』ちくま文庫2008年7刷を読んだ。半村良「となりの宇宙人」に始まり円地文子「鬼」に終る十二編を収録。どれも未読だった。気に入ったのは落語の人情話みたいな「となりの宇宙人」とホラー小説のような吉村昭「少女架刑」。前者にカフカ「変身」を、後者に三島霜川「解剖室」を合わせてみたくなった。山口瞳「穴──考える人たち」には伊藤人譽(ひとよ)「穴の底」を合せてみたくなった。それにしても、名短篇、人によって選定規準が違うことを実感。

 津波の話題。

《 室町時代の1498年に発生した大地震「明応東海地震」で、古文書の記録や伝承から、静岡県沼津市津波が斜面を駆け上り標高36メートルを超える地点まで達していた可能性があることが15日、東京大地震研究所などの調査で分かった。》

《 明応東海地震では、沼津市戸田の集落の「平目平」と呼ばれる地点まで津波が到達したとの伝承があり、標高を測定すると36.4メートルだった。/平目平という地名も、当時の津波でそこまでヒラメが打ち上げられたという言い伝えに由来するという。》