亜愛一郎の狼狽

 昨日はパソコンの電源を落としてしばらくしたら停電。暗くて何もできないのでまだ明るいうちに帰ることに。雨は止んだけどすごい風、いろいろなものが転がり飛んでいく。身の危険を感じて途中でタクシーに乗る。こんなこと初めて。

 台風一過。そこらじゅうに小枝と葉っぱが溜まっている。沼津方面への道は大渋滞。自転車なのですいすい。美術館の周囲も葉っぱだらけ。沼津市の友だちの花壇が塩害で全滅だという。そういえば昨日の午後、ここでも磯の臭いがした。よく見りゃここの花壇も芙蓉の葉が全部しおれている。あれれ〜。

 きのうはさすがに来館者ゼロだったけど、きょうは午前中から来館者。神奈川県から来られたご婦人は、安藤信哉画集を二冊お買い上げ。ありがたいことです。美術の現状について考えを交わす。何故、安藤信哉がもっと知られないのか、と不思議がられる。カラー写真のような写実絵画がもてはやされるようでは、ねえ、と一致。

 泡坂妻夫『亜愛一郎の狼狽』角川文庫1985年初版を再読。これは雑誌『幻影城』で三十年余り前に読み、単行本でも読んでいる。熱気球内での殺人から暗号解読まで八短篇を収録。やはり惹き込まれる。亜愛一郎の狼狽ぶりを堪能。「有栖川有栖笠井潔北村薫が決める 本格ミステリ・ベスト30」創元推理文庫に選出されている。