時を巡る肖像

 柄刀一『時を巡る肖像』実業之日本社文庫2010年初版を読了。ピカソ安井曾太郎フェルメール、モネそしてデューラーの有名な絵に絡んだ短篇ミステリ集。関係した、といった浅いものではなく、その絵の薀蓄が事件の謎の解明に絡んでくる趣向。最初の「ピカソの空白」では。

《 ピカソは恐らく、虚無感を味わったはずだ。あまりにも呆気なくこの世界を描かせてくれる自分の才能に対して。それを十全に理解していないのに感嘆の声をあげる鑑賞者に対して。描き切ることは無意味に思えた。》

 ミステリ好きよりも美術愛好者に読んでほしいミステリだ。

 ネットゲリラの川本耕次『ポルノ雑誌の昭和史』ちくま新書2011 年初版を新刊書店で購入。「あとがき」から。

《 まぁ、たまには「負け犬の視点から描かれた歴史書」というのがあってもいいだろう。一般的には歴史というのは勝者によって書かれる物なんだが。》

 山口昌男の「敗者の精神史」の向うを張ったか。

 ネットの教訓。

《 バスに乗るな 》

 ネットのうなずき。

《 福島の新米を買うことができなくなりました。それは「二本松のお米が400ベクレルていど汚れている」からではありません。「ベクレル表示せずに販売する」からです。》