「アーチストの集めたアート展」最終日

 台風一過のような青空。葉っぱが散乱。おやおや。お昼過ぎから満車状態。あふれた〜。無事終了。やれやれ。

 カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』ハヤカワepi文庫2008年初版を読んだ。知人に贈った単行本の帯には古川日出男の惹句。

《 心をノックする小説とはこういうのを言うんだ。

  そして魂をノックアウトするのは。 》

 知人が凄い凄い、早く読むように、と強く勧めるので予定を繰り上げて読んだ。養護施設のようなところで育った女性が、大人になってから回想する一人称小説。そこで繰り広げられた男女の友情と愛情そしていさかいなどが、淡々と丁寧に綴られてゆく。そして少しずつ明かになってくる奇怪な背景と社会。イギリスを舞台にした同時代のパラレル・ワールド(並行世界)だ。柴田元幸の解説から。

《 そして、世界の奇怪さが見えてきたあとも、端正な語りから伝わってくる人間的切実さはますます募っていき、もはや他人事ではなくなっているその切実さが我々の胸を打ち、心を揺さぶる。》

 彼ら彼女らの置かれた立場がしんしんと沁みる。起伏が乏しいのに、派手な場面は一つもないのに、読後しばらくして彼らのことがぐっと効いてくる。生きるということを想定外の立場から考えさせられる。結び近くの引用を思いとどまる。古川日出男の惹句には二重の意味があることに気づく。

 ネットの拾いもの。

《 まぁ、人生を無駄に長生きしてますw 》

 六十一歳、長生きして、とは言われるけど、老化を実感する今日、どう生き抜けられるかなあ。