吉野の花

 18日(土)は休館します。

 お昼に小雨が小雪に。四月に催す牧村慶子展の案内葉書が出来たという電話。明日の配達を待ちきれず、小雪舞う中、自転車を走らせて受け取りに行く。美術館で開封。いやあ、いい出来〜。牧村さんへさっそく郵送。反響が楽しみ。

 原裕・編『原石鼎句集 吉野の花』ふらんす堂1996年初版を読んだ。

《 全作品の中より虚子選の作品のみ427句を収録 》

 古本の塔から眼について抜き出した文庫サイズのこの句集を何気なく開いたページに下の俳句。

《  春鹿の眉ある如く人を見し  》

 先月ギャラリー志門から恵まれた冊子『ドローイングとは何か  第2回公募入選者展』で気になっていた優秀賞の平野果林という若手画家の「 in the amulet 」2011年を連想。それに惹かれて読んでしまった。いい俳句がいくつもある。気に入ったのはこんな句。

《  山畑に月すさまじくなりにけり

   山門の日に老鶯のこだまかな

   花烏賊の腹ぬくためや女の手

   味噌汁に根深もすこし浮く秋ぞ

   谷深く烏の如き蝶見たり

   剪りとつて燈下に赤し菊二本

   盤石に垂れて小さき簾かな  》

 以上は昭和十二年に出た自選句集『花影』に載っている作品だが、私のとても気に入った下の俳句は洩れている。

《  行く春の近江をわたる烏かな  》