ことばのこだま

 18日(土)は休館します。

 昨日までの数日、曇天、雨、雪とさんざんな天気で、沈みがちな気分だった。未明の雨が上がり、気持ち良い晴天。年末までの計画を決め、深呼吸。やはり今年は潮目だ。

 昨日の原石鼎の句。

《  行く春の近江をわたる烏かな  》

 近江つながりで尾沼しづえの短歌。

《  近江なる湖(うみ)のほとりの彼岸花額田王の睫毛がそよぐ  》

 河野裕子の短歌。

《  たつぷりと真水を抱きてしづもれる昏き器を近江といへり  》

 大景のなかの一点景、烏の黒。その反転。金子兜太(とうた)の俳句。

《  暗黒や関東平野に火事一つ  》

 上田三四(みよじ)の富士。

《  金泥の西方の空にうかみいで黒富士は肩の焼けつつ立てり  》

 昨日友だちとの会話で観覧車が話題に。乗ったことがない。栗木京子の短歌。

《  観覧車回れよ回れ思ひ出は君には一日(ひとひ)我には一生(ひとよ)  》

 一生(ひとよ)。下村光男の短歌。

《  海ホテルとおく他界のごとく昏れけぶりたつ けぶりてをゆかな一生は  》

 他界。葛原妙子の歌。

《  他界より眺めてあらばしづかなる的となるべきゆふぐれの水  》

 静岡県島田市が募集した「愛する故の悪態」コンテストの入賞作から。

《  なぜ海へ行くかって? そこに女房がいないからさ  》

《  主人です 言いたくないので 置いていく  》

《  旅プラン 妻に話すと 行って来な。  》

《  こだまでしょうか?勉強しろと父が言い母が言い祖母が言う  》

 一昔前の御教訓。

《  老いては子に下がええ (二階建て住宅) 》

 今の御教訓。

《  老いては子を養え〜 (二世帯住宅) 》