妖女のねむり

 昨日は夜の集まりまで余裕があったので寒風の中、神田神保町の古本屋街を歩いた。今浦島の気分。店頭の均一台で二冊。田中啓文『辛い飴』東京創元社2008年初版帯付、山口昌男『道化的世界』ちくま文庫1986年初版、計200 円。小宮山書店のガレージセールで三冊。中西進『日本文学と漢詩岩波書店2004年初版帯付、吉行淳之介『星と月は天の穴』講談社1970年初版帯付、アーウィン・ショー『緑色の裸婦』草思社1983年初版、三冊で500円。他に欲しい図録などがあったけど、重くなるので見送り。

 ブックオフ長泉店で四冊。麻生荘太郎『闇の中の猫』東京創元社2009年初版帯付、森敦『わが風土記福武書店 1982年初版、大佛次郎終戦日記』文春文庫2007年初版、高井有一時の潮講談社文芸文庫2007年初版、計420円。

 米澤穂信が「泡坂妻夫の3冊」で選んでいたので、泡坂妻夫『妖女のねむり』ハルキ文庫1999年初版を読んだ。新潮社から出た元本は、当然新刊で購入済み。これは掛け値なしの傑作本格ミステリだ。偶然出会った若い二人が前世ではなんと恋人同士だった! そして輪廻転生に彩られた恋人が殺人事件に……。誰が何のために。驚天動地の真相が明らかになる。なんと鮮やかな解明。

《 本書はミステリーを愛する者ならば、何度生まれ変わろうとも出会わなければならない、まさに逸品中の逸品である。》(細谷正充の解説)

 事件の構造は、辻真先『ピーターパンの殺人』に通じる。げに恐ろしきものは……。

 ネットの拾いもの。

《 阪神大震災でこたつで寝てたら天井が落ちてきたけどこたつの天板で支えられて生き残った俺。だから、こたつだいすき。

  こたつに足を向けられないな。》