空白の起点

 味戸ケイコさん、3月1日(木)お昼に来館、午後2時まで滞在予定。

 雨なのでバス。冷たい雨。春は遠い。静かに過ぎてゆく。

 笹沢左保『空白の起点』(1961年初刊)講談社文庫1982年7刷を読んだ。第五長篇。東海道線の東京行きの急行列車が熱海を過ぎ、真鶴を通り過ぎた海岸線に沿った地点で、崖の上から男性が突き落とされるのを車内の人が目撃。落ちた男性は、目撃した十九歳の女性の父親だった。その女性、鮎子の描写。

《 なんという鮎子の神秘的な容貌だろう。男の欲望をそそるような媚態や性的な魅力は微塵もない。それでいて、触れてみたい欲求を抑制することができないのだ。通俗的な表現をすれば、魔性の吸引力とでも言うのだろうか。》

 笹沢左保が本格推理小説とロマンの融合を狙った小説だという。それはある程度成功している。一読者としては、酷薄な犯行理由と仰天トリックだけで十分な気がする。それはさておき、「空白の起点」はいい題だと思う。

 ネトの見つけもの。

《 仏の顔も 4度の受難  上野大仏 》