今回は、平面(床)展示から立ち上がって立体展示になった。変化は一目瞭然。深く彫琢された椅子は、昨日早々と来館された方が述べたように、彫刻オブジェの風貌が明確に現れた。台座に設置されることで、有用の椅子という眼の桎梏から解放されて、木彫作品として理解されるようになった。また、道具置きとして制作されたものが、じつは最高に興味深い木彫作品だ、ということを、作者白砂勝敏氏も気づかなかったのが、面白い。その周囲を巡って「言われてみれば、そうですね〜」と彼。今回の眼玉は、新たな展開を予感させるこの70余センチ高の『龍脈』だ。無用の芸術ではなく、有用かつ芸術。眼で驚き、手で触れて楽しむ。工芸とは一味違う作品は、眼の袋小路へ入ったような現代美術の別流へのひらめきになる気がする。
この冬もそうだったけど、鍋料理はろくにしなかった。こんな鍋はどうだろう。
《 『 仁義なき戦い鍋』
粗削りな味だけど、食べるとやたら全身がカッカと熱くなって、血の気が多くなる。
「替え玉、あるかな?」
「山盛りさ、玉はまだ残っているがよおっ」
と家族の会話も弾む! 弾!
『蛇蝎のごとく鍋』
教養の高そうな家族に、向田邦子ワールドにひたってもらう。
鍋を囲んでいるけど、家族みんながギスギスシして、空気がとんがって。》