日本文学史早わかり

 雨なのでバス。

 丸谷才一『日本文学史早わかり』講談社1978年初刊1996年3刷を読みなおした。

《 かう見て来れば、勅撰和歌集といふ企てを成立させる要因のうち、最も重要な二つのものが取出されたことにならう。すなはち、一方では君主に詩への関心を求める……土俗的な呪術性の残存。他方では先進国の文明への憧れ。その二つのものが出会って、平然と合体してから約一世紀たつたとき、ニ十一代集といふ、他国には類のない詞華集の系列がはじまつた。》35−36頁

《 勅撰集は宮廷の文化的な力を誇示するために編まれた。一応はさう言つて差支えない。しかし大事なのは、その文化的な力がただちに政治的な力として働くといふ事情である。》36頁

《 漢詩は前代において俳諧以上に支配的な形式で、まして小説などまつたく問題にならなかつた。》61頁

《 詞華集ことに勅撰集に注目して日本文学史を書くことにはいろいろな利点がある。まづ、時代区分といふ厄介なものがきれいに処理できるし、次に宮廷文化と文学との関係の移り変りが明らかになる。》175頁

 昨日の高橋睦郎『読みなおし日本文学史』は、『日本文学史早わかり』を受けて展開した日本文学史といえる。

 ネットのうなずき。

《 希望は自ら探す者にある。》