昨日の雨が上がって、春の陽気。遠方の友だちの誕生日なのでメールする。すぐに返事。
《 ありがとうございます。今 娘の結婚式 式場に 向かうタクシーの中です 》
なんと目出度い。結婚式というと、東野圭吾の『秘密』を思い浮かべる。泣かせる話だ。昨晩はグラウンドワーク三島の職員の送別会だった。それぞれの旅立ちに感慨一入。
北村薫『スキップ』新潮社1995年初版を読んだ。十七歳の女子高生が突然、二十五年後の自分の体にタイムスリップしてしまう話。四十二歳の肉体に十七歳の心が入ってしまう。四十二歳の彼女は高校の先生。娘は高校生。高校生の心が、中堅の先生の役をこなさねばならない。これはタイヘン。二十五年後の世界は激変していた。浦島太郎気分だ。なんて言ってられない。
《 いやはや、進歩というのは、凄まじくも素晴らしく、見事でもあり、また人を置いてけぼりにするものである。》「第六章」
高校教師の夫と娘の協力で、高校の先生役をなんとかこなしてゆく主人公。ハラハラドキドキの連続。高校生活を活写した青春小説とも言える。
東野圭吾の『秘密』1999年に先行した構図だ。『秘密』は、母子が交通事故に遭い、母は死に、助かった娘の肉体に母の心が入ってしまう話。『スキップ』は女子高校生から中年女性に、『秘密』は母から子どもに。心と肉体=現実社会との齟齬と葛藤と折り合い。どちらも状況は変わらぬままに結末を迎える。結末は真逆。
ネットの見聞。
《 専門家でないからこそできることがある、より高い次元へ踏み込める、そう再確認できる展示だったと思う。》
本の装幀の展示会。そんな作家を見出し、こう言える展示をしたい。
《 花森安治は言っていた。「買った人にオツリがきたと喜んでもらえる、それが親切な商品だ」 》