北村薫『リセット』新潮社2001年初版を読んだ。『スキップ』『ターン』に続く時間と人を巡る三部作の第三作目。『スキップ』は二十五年後へのタイムスリップ、『ターン』は臨死体験(並行世界)そして『リセット』は輪廻転生がテーマ。
戦時中、昭和三十年代前半そして現在、と三つの時代に出会った男女の不思議な巡りあわせ〜純愛に貫かれた輪廻転生の二人。 第一部の戦時中の話は、ただ読んだけだった。リリアン・ハーヴェイ歌う「唯一度だけ」(映画『会議は踊る』より)を聴く場面では、CDでそれを参考に聴く。
第二部、もはや戦後ではないといった頃から俄然面白くなった。
《 中学三年の秋に、東京オリンピックがあった。》「第三部」
私と同世代だ。以下の文には激しく同感。
《 テレビが日常的なものになる前の、映像の魅力というのは、実に大きなものだった。》「第二部」
《 寒さも暑さも、その他いろいろなことも、昔はまず我慢するのが当たり前だった。》「第二部」
泡坂妻夫の本格ミステリ小説『妖女のねむり』1983年、辻真先のSF小説『時の回廊 昭和は遠くなりにけり』 1999年を連想。輪廻転生がテーマのニ作。どちらもヒネリ〜ツイストが効いている。
ネットの見聞。
《 つまりいま使ってる電気も原子力ゼロということか。気分いい地産地消。》
《 研究者は「わからない」ことを「わからない」と述べなければならないが,実務家は「わからない」ことにも「答え」を出さなければならない。これが研究者と実務家の違いのひとつである。》