絵のある人生

 4月3日(火)休館します

 嵐のお昼。それでもお客さんは車で来る。ありがたい。

 安野光雅絵のある人生 ─見る楽しみ、描く喜び─』岩波新書2003年を読んだ。首肯できる箇所から。

《 国策として科学的発見を願う時代に、「美」などは迂遠なことのように思われ、直接コンピューターの教育を徹底すれば足りる、と考えられているようですが、わたしにはそうは思えません。》9頁

《 「きれい」というのは「汚い」の反対語ですが、「美しい」というのは醜悪な部分までも含んでいます。》9頁

《 「作者はこう考えているのだとわたしは思う」という憶測はいいのですが、「作者はこう考えているのだ」ときめつけるのは、いけないと思います。》18頁

《 このバランス感覚は、構図法とか色彩論などといった規則はなく、頼るのは自分のセンスです。(引用者:略)それは熟慮というほど手間のかかるものではなく、瞬時に頭をよぎる感覚です。》44頁

《 英語では、制約のもとに描く場合をイラストレーション、自由に描く場合を、ファインアートと、分けて考えています。》66頁

 この区別は知らなかった。

《 線は対象に対し、それを認識したことの証として人間が取捨抽象して描いたものです。》78頁

《 つまり、デッサンの線は思考の痕跡です。だから一義的に、もっともオリジナリティの高い作品と認められます。》78頁

 ネットのうなずき。

《 日本は、その人の本質・能力・人間性などから量られる可能性よりも、肩書で量られる。つまり、中身よりもパッケージ…包装が重要視される。》