科学技術

 牧村慶子展のお祝いにいただいた紫陽花が首を垂れていた。あわてて水を遣る。ピンと回復。やれやれ。私もこうありたい。

 昨夜のNHKテレビ『プロフェッショナル 仕事の流儀』で日本料理人山元正治は言っていた。

《 「日本料理のオリジナルを作った人が、今の世にいたら、同じことをするだろうか?科学技術も流通も進歩した今だからこそできることが必ずあるはず。先人からバトンを受け継ぎ、一歩でも前へ進むこと、その幅だけが、自分が生きた証になると思う。」 》

 茶碗などの焼きものにそれまでにない美を創造した北一明氏を連想。

 毎日新聞、昨日ときょうの夕刊で先月亡くなった吉本隆明について座談会が組まれている。

 吉本ばななが父吉本隆明の発言に一月六日、ツイッターでコメントしていた。

《 父のことですが、もうあまりちゃんと話ができないので、まとめる人の意訳があるかと。私が話したときは基本的に賛成派ではなく廃炉と管理に人類の英知を使うべきだ的な内容ではないかと察します。一部をとりあげて問題にするのはどうかやめてください。父は静かに介護生活をしていますので。》

 とあるが、どうなんだろう。吉本隆明は、原発ができて五十年、日本では事故が起きていないのではないか、といったことを『日本人は思想したか』で発言していた。ガッカリした。梅原猛中沢新一との座談会『日本人は思想したか』を読んで日録に記したが、吉本隆明の発言は引用しなかった。

 二十世紀の科学技術の精華として、石油化学(プラスチック)、原子力原子爆弾)、遺伝子工学(クローン)などが挙げられよう。これらの技術は科学の進化樹からすると、どれも進化の袋小路の気がする。そのままでは自然に還元されないお荷物。

 ネットの見聞。

《 震災以後、「美術家である自分には何ができるか」、「音楽家である自分には何ができるか」…と問うことで、結果的に自分の無力感を煽り、できることの可能性を狭めてしまっている。そんな問いにはもともと答えなどない。時間の無駄。》

《 なんでレバ刺しは禁止なのに、原発は再稼動できんだよ?どう考えてもレバ刺しの方が安全だろこれ。》