夢の待ち伏せ

 目覚める直前の夢。我が街がレトロな人懐こい街に変身していた。自宅前の大通りには軽便鉄道蒸気機関車が一両の客車をつないで(子どもが数人乗車)、走っていく。車輪はゴムタイヤと先端が丸くなっている杖のような真鍮の棒。棒が路面電車の凹んだ線路にはまって滑っている。なんとも懐かしい風景。見聞したことは無論ないけど。懐かしい未来待ち伏せされた。

 毎日新聞昨夕刊で高階秀爾セザンヌ展にふれて書いている。

《 事実、絶え間なく変化する光と靄に包まれたイール・ド・フランスの風土が印象派の誕生をうながしたとすれば、青く澄んだ空にくっきりとした山の稜線を見せる地中海世界は、明確な形態と不変の秩序を重んずる古典主義を育て上げた。セザンヌが友人モネの眩いばかりの色彩に強く惹かれながら、その奥に確固としたボリュームと構成的秩序を追い求めたのは、その古典的性格の故である。彼が描き出すのは、風景にせよ人物や静物にせよ、いずれもごく身近な世界のものばかりだが、その平凡な対象が彼の徹底した探求によって鮮烈な輝きを放ち、日常性を超えた堂々たる風格を獲得するにいたる。》

 その下段の「そのほかのニュース」荻原魚雷から。将棋レディーによる将棋恋愛格言講座。

《 「メール交換、5日は空けよ」(角交換に五筋は突くな)

  「アラフォーの高望み、不倫の餌食」(桂馬の高飛び歩の餌食)》

 北海道立旭川美術館の学芸課長が午前十時に来館。牧村慶子さんと味戸ケイコさんの絵をじっくり鑑賞される。白砂勝敏氏の木彫椅子に深く関心を向けられる。午後来館された年配のご婦人に北村薫『詩歌の待ち伏せ・上』文藝春秋2002年初版帯付を贈呈。

 ネットの見聞。

《 いつのまにか、「太陽光促進付加金」という名前の税金が電力料金に加算されていた。口座引き落としの利用者だと気がつきにくいかもしれない。こういうことは、国はやることが素早い。》

 ネットの拾いもの。

《 今晩は新しく購入した布団を敷いた。これまでのやつはいわゆる煎餅蒲団、それも、駄菓子屋のソース煎餅ほどのヘラヘラだった。

  新しい布団、実にふっくらとして、弾力もあり、今川焼のよう。》

 たい焼きもありそうだな。