かくもみごとな日本人/魔界へ

 昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。林望『かくもみごとな日本人』光文社2009年初版帯付、泡坂妻夫『妖盗S79号』文春文庫1990年初版、計210円。後者は単行本で読んでいるけど、文庫本は持っていなかった。前者は、

《 当今は、日本人も自信喪失の体で、また政治家などろくな人材を見出せないという混迷の時代にあって、》

 有名無名を問わず、すぐれた業績を遺した70人を短文で顕彰したもの。版画界では川瀬巴水、吉田博らだけど、知らない人も。

 林由紀子さんから来月、大阪のワイアートギャラリーで催される新作銅版画展の葉書が届く。葉書の手彩色銅版画「ガラスの角と青い薔薇」2012年に釘付け。これはいい。独特の濃厚な表現はさらに濃密に、さらに奥深く……未知の魔界へ。これは嬉しい。林さんに電話、感想を伝える。

 ネットの見聞。金井美恵子の発言。すごく同感。

《 「教養」というのであれば、60年代のアメリカ前衛美術のスター的存在だった、ジャスパー・ジョーンズが来日した時、彼にインタビューした詩人から聞いた話なのですが、ジャスパーは少年時代に(アーサー・)ランサムの小説を愛読したそうです。そういうところが、ジャスパーより日本でもアメリカでも人気があるに違いない下品なアンディ・ウォーホルと違うところであって、それを「教養」と言うのです。》

《  よく、少年の時から、ドリトル先生の偽善性のいやらしさが嫌いで、『シートン動物記』の動物=自然と人間の闘いのリアルな過酷さの方に感動した、といったふうのことを書くやつがいますが、それは、アーサー・ランサムの小説の湖でヨットの帆走を最高度に楽しむ子供たちについて、どれくらいの数の子供が自分のヨットと艇庫を持っているというのだろうか、と中産階級ブルジョア)批判をする児童文学者と同じ類いの「小説嫌い」というか小説というものの教養に欠けた意見というべきです。》

 名古屋人の書き込み。

《 コーヒーを注文したらコーヒーしか出てこない東京のカフェ。 》