220円105円

 友だちから平松洋子『おとなの味』平凡社を借りてパラパラと読む。25種類の納豆の選考会。彼女は優しい噛み応えを好み、選考委員の別の男性は噛み応えのある納豆を好む。真逆の好みの二人が最高!と選出した納豆は、同じだった。真にいいものは個人の好みを超えている。美術作品にもいえることだ。作品を好悪で観るのはかまわないが、優れた作品は、好悪を軽く蹴散らしてそこに存在する。ピカソの初期中期のいくつかはそんな作品だ。

 ブックオフ長泉店へ古本を売って220円。山田風太郎『戦中派焼け跡日記』小学館2002年初版帯付105円を買う。昭和 21年の日記。七月二日の日記から。

《 ──三万円儲かったら十万円欲しくなるだろう。十万円儲かったら五十万円欲しくなるだろう。──かくて生涯金の奴隷として過す輩の憐れむべき哉! とはいえども俺も金は欲しい。しかし、普通の食物を食って本を読むことが出来るなら、それで結構である。 》

 ネットの見聞。

 「自炊」っていうから本をパソコンに取り込む雑誌と思ったら、本来の意味の「自炊」雑誌だった。

《 自炊派の若い世代に向けた食の情報誌『食べようび』を、オレンジページが創刊した。 》

 大飯原発に反対する人を紹介したドイツのニュース が You Tubeに投稿されている。

 ハッカー集団アノニマスが7日渋谷で『お掃除オフ会』開催!

《 クリックの代わりに『クリーニングを行う』 》

 ネットの拾いもの。

《 この前「筑波大学冬景色」という歌を教えてもらったんだが「上野発の普通列車おりたときから 土浦駅は風の中 つくばへ帰る人の群れは誰も無口で 風鳴りだけを 聞いている 私も一人 関鉄バスに乗り こごえそうな蛙見つめ 泣いていました ああ 筑波大学冬景色」という歌詞で笑い転げた。 》

 安藤信哉の絵を観に茨城県立つくば美術館へ行ったことがあった。車窓からは延々と続く高圧線鉄塔が印象に残った。つくば駅をおりて……。二度と来ることはないなあ、と思った。ちなみに1977年だかに出た石川さゆりのシングル盤『津軽海峡冬景色』は持っている。

《 腹が減ったのに雨 (自由律俳句) 》

《 ……さ、仕事しよう! 》