黒体と量子猫2 ワンダフルな物理史「現代篇」  

 『黒体と量子猫2』ハヤカワ文庫2007年初版を読んだ。題名の由来が明らかになる。「量子にお願い」から。

《 ある意味で現代の量子力学は熱力学、特に物体の温度とそれが発する放射エネルギーの総量を関連づける、一九世紀に発見された方程式から誕生したといえる。 》

《 物理学者たちは一九○○年までに、物質の熱エネルギーは原子の揺れによって生じており、その運動が放射の波紋を発しているという事実をつきとめていた。原子が熱くなればなるほど揺れは激しくなり、放射が生み出すエネルギー(振動数)は高まる。問題が発生したのは、科学者たちが空洞、すなわち"黒体"と呼ばれる仮想の完全な放射体にして吸収体が発する放射量を計算しようとしたときだった。 》

 「シュレーディンガーの猫騒動」から。

《 シュレーディンガーの数学的な"波動関数"は、電子のあらゆる可能な状態、すなわちあのいまいましい量子猫を記述する。つまり、箱のなかをのぞくことによって猫の生死が決まるように、測定行為が、どういうわけか──あらゆる物理的可能性を運んでいる──物質波をきわめて限定された特性を持つ粒子に収束させるのだ。電子は明確な位置がなく、位置しうる確率の重ね合わせという形で存在している。実験者が電子を観察したときはじめて、波動関数はある特定の位置に"収縮"するのである。 》

 引用文だけでは意味がわからないだろうけど、引用している私もわかっていない。

 「瞑想するカオス」からジャクソン・ポロックの絵の分析。

《 数学の世界でカオス理論から生まれたのは、フラクタル幾何学である。カオス的システムと同じく、フラクタルは一見無秩序に見えるが、ロシアの入れ子の人形のように、同じ幾何学模様が異なる大きさで何千回も繰り返され、集まったものだ。 》

《 美術におけるフラクタルパターンの例としてもっともふさわしいのは、おそらく抽象表現主義の画家、ジャクソン・ポロックの作品だろう。 》

《 初期の絵のフラクタル次元は自然界に見られるものとほとんど一致していた。たとえば、一九四八年の作品(あまり詩的とはいえない題名、『ナンバー14』がつけられている)のフラクタル次元は一・四五で、多くの海岸線のものに近い。あとの絵は、模様がさらに増え、複雑になり、フラクタル次元も高くなる。 》

《 彼は自然界に見たものをまねただけでなく、そのメカニズムも取り入れていたのだ。つまりカオス力学である。 》

《 実際、芸術家や建築家、作家、そして音楽家は、自然界に見られるフラクタルパターンを直感的にまねることにより、観客たちを魅了しているようだ。 》

 ネットのうなずき。

《 国難に遭遇するとナショナリストが幅を利かす。戦前と同じだ。しかし戦争は絶対にダメだ。54基の原発を海岸線に配備して、どうして戦争ができるのだ。それとも複数の原発がミサイルでやられ、戦争が終わって住めない国土になっても戦争をやるのか。頭を冷やせ。これ以上、子どもにツケを回すな。 》 兵頭正俊

《 正義(せいぎ)で考えると戦争になるので、正気(しょうき)で考える。 》

《 SFの名タイトル「月は無慈悲な夜の女王」も一字変えるとSMの名タイトルになってしまう。「次は無慈悲な夜の女王」 》

《 なんかしなきゃと思ってパソコン立ち上げたけどなんだったか忘れた…… 》