つぶやき岩の秘密

 昨日展示を大方終えた、沼津信用金庫ストリートギャラリーの白砂勝敏展の小道具、五冊を持ってくる。本らしい本、という友だちのリクエストで、見栄えのいいハードカバーから岸田國士『落葉日記』第一書房1929年初版、『プラトン全集5』岩波書店1986年3刷、ベックフォード『ヴァテック』牧神社1974年初版、『日本探偵小説全集 大坪砂男水谷準春陽堂1954年初版、『世界の名訳詩集1』三笠書房1967年2刷を選んだ。

 個展中の鶴田知志子さんから薦められた新田次郎つぶやき岩の秘密新潮文庫2012年2刷を読んだ。《三浦半島の南のはずれに近い西海岸の小さな村に生まれた》小学六年生の男の子が主人公。海の好きな少年は、大潮の時、耳を澄ますとつぶやきが聞こえてくる岩に出合う。その近辺の断崖一帯は、戦争時に軍隊によって迷路のような穴が作られ、金塊が隠されていると噂されていた……。息詰まる冒険と暗合解読。なかなか読ませる少年小説だ。中島京子が解説で書いている。

《 「つぶやき岩の秘密」は少年小説であるとともに、少年をどう育てたらいいかに悩む大人たちに、一つの回答をくれる小説でもある。 》

 ネットのうなずき。

《 「わたしは政治から距離を置いているから発言は控えます」という人は、実は距離を置いているのではなくて、現状維持を追認していると自覚するべき。だれも政治から距離を置くことはできない。人のすべての行動が、結果としてこの世界を作る。 》 寮美千子 

《  椅子が硬かろうがテーブルが狭かろうが、眠くなる時は眠くなるというシンプルな事実。  》 大矢博子

 ネットの拾いもの。

《  金田一耕助の役を石坂浩二ではなく石川遼 にしたら「獄門島」が「五右衛門島」と改題された。 》 山田正紀