内田宜子展初日/星か雲か

 長年木版画を制作してきた内田宜子(のりこ)さんの初個展。来館され次々と祝する方々。晴れ舞台。

 先だって王紅花さんから恵まれた新歌集『星か雲か』ながらみ書房をやっと読んだ。個人誌『夏暦』と商業誌での発表から三二六首を自選。初見の歌、記憶にある歌、さまざま。歌人は日常の何気ない風景を手品師のように、さりげない手技でふっと別の光景に変えてしまう。その短歌には、ほろ苦いおかしみとおののきが同居している。

  部屋の明かりに来たり甲虫と蜉蝣と蛾と雑巾の切れ端のごときもの

  警察署裏の流れのはやき溝川を黒髪一束流れてゆきぬ

  窓辺の女 壜入りの黒き液体を口に流し込みゐるところなり

  朝焼けはうすくなりゆき森に鳴くかなかなの声やがて絶えたり

 ネットの拾いもの。

《 日本にかぶれて、FREE(自由)を日本語に訳して「無料」と刺青した人。 》