萌えミリ/萌えミス

 一昨日やっと購入したプリメインアンプの音質を確かめ、楽しみながら数年前に銅版画家の林由紀子さんからいただいた雑誌『男の隠れ家』の本の特集を見ていたら、開高健についての対談。そこで推薦されていた中の一冊が『知的な痴的な教養講座』。表記が「講座」ではなく「文庫」となっている。画像が集英社文庫だから間違えたんだろう。なんて理解しつつ、ふと本棚を見やると、福武文庫の同じ本が並んでいる。よく見ると違った。イーヴリン・ウォー『ポール・ペニフェザーの冒険』1991年初版とエリアーデ『ホーニヒベルガー博士の秘密』1990年初版だった。前者のウォーは『大転落』という題で岩波文庫からほぼ同時に出ているとか。題名、違い過ぎ。

 『知的な痴的な教養講座』集英社1990年6刷の帯にはこんな文。

《 一本のワインには二人の女が入っている。

  一人は栓をあけたばかりの時の処女。

  もう一人は、それが熟女になった姿である。 》

 当該箇所の本文を読んでみた。その続きがあった。

《 ただし、人間の女とワインも違うところがある。

  ワインは栓をあけて処女を楽しむが、

  人間の処女は栓をして味わうという一点である。 》

 お昼、彫刻家、武蔵野美術大学名誉教授の加藤昭男氏が白砂勝敏さんの作品を見に来館。えらく喜ばれる。一時間半ほど談笑。

 ネットの見聞。

《 萌えミリが論議を呼ぶ昨今、萌えミスもどしどし書かれるべきだ。 》 芦辺 拓

《 考えてみると、赤川次郎先生の『セーラー服と機関銃』こそは、「武器を構える美少女」の物語だった。この作品が、主婦と生活社21世紀ノベルスという、これまでになかった叢書から生まれたのは偶然ではない。「大人の鑑賞に堪える」ことを目標にひたすら切り捨ててきた部分が、一気に甦ったのだ。 》 芦辺 拓

《 以前、現在にも通用する萌え少女キャラを多数生みだした作家として久生十蘭を挙げたことがあると思うが、十蘭は戦前においてとてつもなく個性的な探偵を二人生み出している。一人は顎十郎こと仙波阿古十郎。もう一人は『魔都』の真名古明警視だ。 》 芦辺 拓

 久生十蘭『魔都』昭和12年、は新版『東西ミステリーベスト100』では69位に入っている。旧版では『顎十郎捕物帳』昭和14年だけが74位に入り、『魔都』は選外。入れ替わった珍しい例だ。