昨日の続き。『決定版 深夜の散歩』は、福永武彦、中村真一郎そして丸谷才一の共著。ミステリー雑誌に連載した三人のエッセイをまとめたもの。しんがりの丸谷才一は1961年から1963年に連載している。半世紀前だ。今読んでも、昨年発表されたような新鮮な印象。さりげなく洒脱な大人の文章。巧いわ。そして慧眼の士。脱帽。
《 ぼくたちはみな、小説を一人きりで読み耽るのだ。 》「ダブルベッドで読む本」
《 誰でも知っていることだろうが、日本の純文学は自然主義と私小説によって荒廃した。 》「犯罪小説について」
《 すべては語り盡くされた、とぼくは感じる。一体、新しくつけくわえるべき何があるだろうか?しかし、他人の意見の祖述はぼくの得意とするところではない。 》「ある序文の余白に」
《 問題なのは、そういう些細なことではなく、彼らが作ったルールの背景、および彼らのルールの基礎となった英米探偵小説の伝統の背景、にあるところの、あの豊かな市民感覚をぼくたちが持っているかどうか、ということのはずです。 》「タブーについて」
《 なぜなら、ぼくたち善良な男性はみな、悪女に憧れているのだから。そして──たぶん、善良な女性もまた。 》「ケインとカミュと女について」
前世紀は深夜といわず未明も散歩したけれど。今出歩けば徘徊老人也。
ブックオフ長泉店で三冊。沼田まほかる『ユリゴゴロ』双葉社2012年13刷帯付、福田邦夫『すぐわかる日本の伝統色』東京書籍2006年2刷、ジョン・T・ウィリアムズ『クマのプーさんの哲学』1996年4刷、計315円。
ネットの見聞。
《 塩をかけたご飯がこの世で一番うまい説 》
今年、旧美術館の昼食は白米にわびのふりけけ、だけ。そしてお茶。