すべてきみに宛てた手紙

 長田弘『すべてきみに宛てた手紙』晶文社2001年を読んだ。39編からなる「手紙エッセー」。本文130頁足らずの短いエッセー集だが、易しい文章に深い含蓄がある。一編読んでは間を置き、というふうにゆっくり読んだ。そうやって味わうべき本だ。

《 というのも、日本語の漢字はわたしたちのなかに連想する力をふんだんに育ててきたけれども、カタカナのことばはことばの地下茎がもともと断ち切られてしまうため、なかなかそうはゆかず、ことばによる連想の力、イメージをゆたかにつらねてゆく力を、どうしても殺(そ)いでしまいやすいのです。 》 「手紙 4」

《 大切にしたいのは、世界をじっと見つめることができるような、そのようなことばです。 》 「手紙 5」

 明日へ続く。

 ネットの見聞。

《 芸術が崇高なんかであるはずない。 》椹木 野衣