絵で見るフランス革命

 河上徹太郎『有愁日記』新潮社1970年初版、冒頭。

《 最近私は吉田健一君に勧められて、エドモンド・テイラーといふ人の " The Fall of the Dynasties " といふ本を読んだ。 》

 次の章では吉田健一訳のヴァレリーを引用して書いている。

《 自由と厳正がこれほど寸分隙がなく絡み合った文章、すなわち状態はない。 》

 これぞ吉田健一『ヨオロツパの世紀末』の文章にも言える。

 『ヨオロツパの世紀末』からフランスの十八世紀が気になり、多木浩二『絵で見るフランス革命岩波新書1989年初版を読んだ。

《 一八世紀の中頃から、風景を見る人間の視点が斜め下方にさがりはじめた。建築物を正面から堂々と描き出すのではなく、斜め下から見るような視線に変わってきていた。これはすでにロココの画家フラゴナールの場合にもあったが、世紀の終わりごろのユベール・ロベールの場合にはもっと極端になっていった。ロベールの絵画では、たとえば橋は、人々がとおる橋の上面が描かれるのではなく、視点がずっと下がっているから、橋を支えるアーチの下の空間が画面を占めることになる。そこは美しいものばかりがあるとはいえない世界である。ごみ、棄てられたもの、普段は顧みられない闇世界が視界に入ってくる。 》 232-233頁

 このくだりに眼を啓かれた。去年静岡県立美術館で観たユベール・ロベールの絵が感銘をともなってまざまざと眼に浮かぶ。私の勧めで行った知人も感動、絵の作風がガラリと変わった。

 ネットの拾いもの。

《 ロスタイムはロサンゼルス時間のことですね。 》

《 IT産業=手抜き脳業 》