乱れからくり

 きょうは雨水。寒い雨。

 ロシアで隕石が落下、それでは次に読む本は泡坂妻夫『乱れからくり』幻影城1977年初版だ。当時予約して購入、著者サイン入り。

《 色も形も判らない何かが、凄まじい速度で落下したようだった。車全体が衝撃を受けたのが、それと同時だった。ガラス窓が吹き飛んだかと思ったほどだ。 》 46頁

《 「一体、事故の原因は何だったのでしょう?」

  「それが、さっぱり判らない。事故の直前、何人もの人が空から何かが落ちて来たのを目撃している」 》 56頁

 隕石が車に衝突したこの場面は印象に残っていたが、まずないだろう、と当時は思った。いやあ、わからないものだ。

 再読、あらためて驚嘆。カラクリの衒学趣味が伏線となって、自動連続殺人をみごとに彩っている。最後の落ちもいい。間然するところなき傑作だ。

 中井英夫は巻末の「プロフィール・泡坂妻夫」でこんなことを書いている。

《 そしていつまでもこうしてしゃれたものを書き続けて欲しいけれども、それは長くは続かないだろうこと。 》

 危惧は外れた。それはともかく、「15 ずんぶりこ」は、逃避行で三島が出てくる。

《 三島から伊豆箱根鉄道に乗った。 》

 嬉しいねえ。

 ネットの見聞。

《 『「ささえあい」の人間学―私たちすべてが「老人」プラス「障害者」プラス「末期患者」となる時代の社会原理の探究』:この本はいまから20年ほど前に、友人たちと書いた共著。副題を見て思うのは、実は時代に先んじた視点を打ち出せていたこと。 》 森岡正博

《  「日本の伝統」はちょっと前に流行った「品格」と似てるな。品格と言いたがる人はたいてい品格がないのと同じで、伝統と言いたがる人はたいてい伝統を知らない。 》 佐々木俊尚