紀伊國屋書店横浜店で『ジャケ買いしたくなるイラストレーターさんの表紙の本』というフェアをやっている。表紙絵で買う本はある。当然だけれど、味戸ケイコさんのイラストなら即買い。宇野亜喜良だと考える。宇野亜喜良はエロチックな絵が楽しい。加藤郁乎『膣内楽』大和書房1975年がイチバンだろう。帯を外して楽しんでいる。帯といえば、小泉喜美子さんに『女は帯も謎もとく』徳間ノベルス1982年があった。最近入手した本では姫野カオルコ『リアル・シンデレラ』光文社文庫2012年初版。表紙はポール・デルヴォー描く美女。そそる。
ジャケット買いなら以前はレコード、最近はCD。今はリサイクル店でレコードを漁る。キャンディーズのLPレコードなんか、300円でキレイなモノが手に入る。一昨日のやなせたかし氏のパーティでは歌手の西島三重子さんと久闊を叙したけれど、彼女のシングル盤レコードのジャケットはイマイチだった。
35年ほど前に下北沢にあったバンブー・ハウスというレコード店でジャケ買いしたのはギリシャの歌姫ハリス・アレクシーウの1976年盤。ギリシャ語で読み方も分からずに買った。大当たり。以来新譜が出ると聴いている。来日公演には行けなかった。20年ほど前のライヴ盤でその様子がうかがえる。「シクラメンのかほり」を歌っている。私よりも数日早く生まれた。みごとに歳を重ねている。そういえば西島三重子さんは二箇月半早く生まれている。
この寒い一日、はて、何を読もうか? と巡らせていると、ポッと浮かんだのが、先のやなせたかし氏のパーティ会場の立食テーブルでそばにいたイラストレーター下谷二助(しもたに・にすけ)氏の本『ネズミ事師の仕事と生活』情報センター出版局1983年初版。副題が「世の中、笑って住めば幸いだ」。三十年ぶりの再読。友だちに見せたら、交通取締りの「ネズミ捕り」と勘違いされた。
ネットの見聞。
《 難しいのは、どんなにデッサン力をつけ技術的に上手い絵が描けるようになったとしても、それが他人から見て「おいしそうな絵」「ソソる絵」「欲しい絵」であるかどうかは、また別ということ。それはたぶん同人誌業界でもアート業界でも同じだと思う。そしてこれは、努力だけではどうしようもないことなのだ。 》 大野 左紀子